人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第39回 (2025)
セッションID: 4P2-OS-17b-02
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自然言語・視覚情報を用いた組合せ最適化問題の制約定義:推論特化型視覚言語モデルによる解生成
組合せ最適化の民主化に向けた数式を前提としないアプローチの検討
*井上 翔太坂内 匠
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抄録

組合せ最適化技術は輸送計画などの現実世界の問題解決に貢献している.しかし,複雑なドメイン知識を正確に把握し,適切に定式化することは難しく,それが社会実装を阻む一因となっている.本研究では,組合せ最適化問題における推論特化型視覚言語モデル (o1)の有効性について,従来検証されていない自然言語や視覚情報で表現された実用的な制約を考慮しつつ評価した.視覚情報自体が制約条件となる問題設定を検証するのは本研究が初めてである.実験では巡回セールスマン問題 (TSP) を例に,o1が生成した解を,混合整数線形計画法による厳密解や視覚言語モデル (GPT-4o) の解と比較した.一般的な TSP (N=10,30) において,o1 は GPT-4o や最近傍法よりも最適性ギャップが小さく,高い解探索能力を示した.自然言語で表現された時間窓制約や訪問順序制約に対しては,GPT-4o が制約をほとんど遵守できなかったが,o1 の制約遵守率は 90%以上を達成した.視覚的に与えられたエリア移動順序の制約でも 80%以上と高い遵守率を示した.結果より,非専門家でも数式を用いることなく実用的な制約条件を導入できる可能性が示唆された.

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