人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第39回 (2025)
セッションID: 4Q3-OS-23-04
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AIによる故人再現をめぐる法的・倫理的課題
*吉永 京子
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抄録

生成AIによって故人の「再現」、「復活」が可能になったが、それは許されるのか。 国内では「AI美空ひばり」、海外ではAIでマイケル・ジャクソンの姿が生成され、著名裁判官を再現するプロジェクトもある。さらに、米国では親族の生前のデータをもとに故人と会話できるAIサービスが既に存在している。 法律上、我が国では、著作権法上の権利は死後70年まで保護される。刑法では死者の名誉も一定の場合に保護される。しかし、個人情報保護法上は、原則として保護の対象外である。また、プライバシーの権利も本人のみに帰属し、亡くなれば消滅すると一般に考えられている。 一方、倫理の観点からは課題はないか。故人はAIが作成したイメージに対して抗弁はできないためイメージが書き換えられるリスクもある。また、アンドロイドで再現される場合はあたかも本人が生き続けているようになるが、そのアンドロイドが故人の社会的役割を担い続ける場合、それは残された家族、組織、社会にとって何を意味するか。 本パネルでは、海外の事例も見ながら、死者をAIで再現することに関する法的・倫理的課題を取り上げて議論する。

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