海岸工学講演会講演集
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入江内における冷却水取放水の研究 (1)
和田 明中川 友康片野 尚明
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1965 年 12 巻 p. 143-152

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抄録

本研究は, 潮汐および風の影響を受ける入江内に設置された火力 (原子力) 発電所の放水口から放出される冷却水の再循環の研究に関連したものである。温水と冷水の境界面の形状を決定することは, -本研究の主眼点でもあるが-再循環量を予知する手段を与えるのみならず, 復水器冷却系の取水および放水口の設計に決定的な役割を演じる。現在のところ, このような発電所または工業用水の放水後の入江内における水温変化についてはまだ合理的な解析法が確立されていない。このために, 数値解析が遂行され, 発電所排水口からの熱拡散現象を取り扱かうにあたって, 3次元空間を想定して冷却水放水口沖の海域における水温分布を求めた。さらに, 放出水の力学的挙動を考慮に入れて, 重調和関数の数値解析を行なえば, 渦粘性の卓越する流れの場を解くことができることを提示し, かつここで求められた移流効果を熱拡散方程式に組み合わせて, 平面状熱拡散分布を算出した。すなわち, 重調和方程式, 熱拡散方程式を差分方程式に変換し, 適当な境界条件 (海域での水温成層状態, 排水出口での放水流速および放水温, 海面からの表面冷却など) のもとに反復計算法の一手段である加速Liebmann法を適用し, 大型電子計算機 (IBM7090) によって数値解を求めた。

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