海岸工学講演会講演集
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沿岸観測所用一遠隔自記波浪計MR-Mark IIIについて
降籏 常雄
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1960 年 7 巻 p. 81-90

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抄録

この論文は, 激しい外洋の波浪のある沿岸でいかなる気象条件下にも経続して精密に波のRoutine観測ができるために現在の測器でどこに問題があるかをまづ明らかにし, 一つの解決策として (1) 差動変圧器をTransducerとする零位法測定方式を導入することにより, 従来の電気式波浪計の本質的困難がいくつか除かれる事実を実験用波浪計MR-Mark Iで示めし, つぎに (2) 拡張された応答特性をもつ新しい一つの圧力・受圧素子を提出し, それがもつ三つの応答特性のうちの一つのSpecial caseをつかえばすぐれた機能を有する堅牢なHigh pass filter装置が実現され, 従来の電気式水圧型波浪計で最も問題の多かつた水中の受圧装置の難点が容易に克服できることを実験用波浪計MR-Mark IIで述べ, さらに (3) 以上二つの原理を融合したMR-Mark IIがより改善されてここに高性能の実用波浪計MR-Mark IIIが実現し, 従来の電気式水圧型波浪計に共通とみられるいくつかの困難がすべて解決して, 厳しい条件下での波浪観測のRoutine化に一つの可能性をもたらした事情を説明する。また参考として (4)(2) にのべた受圧素子の他の二つの応答特性をつかうことにより, 従来は全く別扱いされた検潮器, および津浪計などもすべてMRーMark IIIと同列の機構, 形態で遠隔測器として直に実現できることを指摘し, 最後に電気式波浪計で常に問題になる信号伝送ケーブルについて二, 三の事柄をのべる。

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