本研究では, 近年顕著となってきた有明海の環境変化の要因分析を行なうにあたり, 水質特性や底質特性, 気象などの過去のデータから環境特性を把握するため分析と整理を行なった. その結果, 底質の泥化による環形動物の増加や軟体動物の減少など底生生物の個体数の変化, 降雨に伴う河川からの栄養塩流入と赤潮発生との相関, 塩分・透明度など水質項目の季節変動が幾つかの海域に分類できることなどが明らかになった. また, 水温・塩分濃度の水深方向分布調査から, 干満差の大きい有明海でも夏季には密度成層が生じていることが明らかとなった.