アサリ増殖場造成地において現地調査に基づく窒素・リンの収支計算を行い, アサリによる造成地の水質浄化機能 (懸濁態N・P除去量) を明らかにした. アサリ生息数の少ない現状では, アサリによる懸濁物除去よりも一次生産の方が大きく, 造成地は懸濁態窒素, リンの供給源となっていた. また, アサリの摂餌, 代謝, 排泄を数値モデル化することにより, アサリの稚貝放流, 増殖, 漁獲に伴う懸濁態窒素の除去量を定量的に評価した. 造成事業計画に従って放流・漁獲を行った場合, 海水中からの窒素除去量は年平均で41mgN/m2/dayあると見積もられた.