瀬戸内海西部海域においては, 高潮および波高の極値に及ぼす台風の影響が圧倒的に大きいことから, 本研究では, 過去51年間の既往台風および500年間のシミュレーション台風を対象とした高潮・波浪推算とこれから得たそれぞれの台風時年最大値資料に対する極値統計解析に基づいて, 再現期間50-1000年の確率高潮偏差および確率波高を推定した. そして, 両資料に基づく確率高潮偏差や確率波高の空間分布は全般的によく符合することや, 内海域の確率高潮偏差は中央部の海域から西方の周防灘奥部や北東方向の安芸灘奥部に向けて増大し, 逆に確率波高は漸減すること, およびとくに1000年確率高潮偏差の最大値は300cmを優に越えることを示した.