新北上川が流入する追波湾において, 融雪出水期の河川流出水の挙動を現地観測と衛星画像解析により面的に推定した. 現地観測では, 漁船の船底に濁度計と塩分水温計を取り付け, 湾内表層の塩分・水温・濁度を連続的に計測した. その結果, 塩分と濁度の間に高い相関のあること, 出水ピークの1週間後でも湾内の塩分がかなり低い状態であることが分かった. 次に, 観測日前後のランドサット画像から, 現地観測で得られた塩分・濁度の相関関係を利用し, 湾内における表層塩分の面的分布を推定した. その結果, 低塩分水は概ね湾中央部を直線的に流れるが, 海水と混合し希釈されながら, 湾内の島の影響で湾奥及び南の入江に滞留する様子が捉えられた.