抄録
本研究では底生微細藻類量とヤマトオサガニの個体群密度の経月変化を4年間計測し, 藻類からヤマトオサガニへの物質循環量およびヤマトオサガニが藻類量に及ぼす影響について考察した. 安定同位体分析からヤマトオサガニは底生珪藻を主な餌資源としており, ヤマトオサガニの活動期には一次生産量の5.2%を二次生産に利用していることがわかった. また, 藻類量は冬期に最大値が認められ, ヤマトオサガニの個体群密度の増減と対応関係にあった. 以上のことより, 洪水などの物理的な作用と同時に摂餌活動に伴う底質の生物撹絆作用も底生微細藻類量に影響を与えており, その結果, 夏期の底生微細藻類量を減少させていることが考えられた.