抄録
マーシャル諸島マジュロ環礁では, 近年沿岸環境の変化に伴うと考えられる海岸侵食が問題となっており, また, 将来の海面上昇に対しての国土維持が大きな課題となっている.本研究では海面上昇前と上昇後の波浪場の算定から得られた沿岸方向エネルギーフラックスと現地調査で得られた有孔虫による底質供給量から土砂移動量の算定を行い, その結果から土砂堆積量ポテンシャルの変化を定量的に明らかにした.さらに, 2005年8月に行った現地調査結果との比較を行った結果, Laura地域において実際の地形変化傾向と計算結果の問に相違が見られ, これは流れ場の特性の違いによるものであると考えられた.また, 流動特性の他にも人為的な土地利用の改変が地形維持に大きく関係していることが予想された.