抄録
本論文においては情報システム構築の際のソフトウェア開発におけるプロセス改善を取り上げ,プロセス改善を浸透させる「仕組み」と人的側面(動機付け)の重要性について考察する.
私はプロセス改善の初期段階において,「品質問題サイクル」から組織を脱却させるために,「不具合を生成しない」活動を考案し,協力会社まで巻き込んだ活動として開始した.本活動は「プロセス改善の源は人間力にあり」との基本理念に基づき,システム開発の上流工程から「ゼロディフェクト」を目標として,高品質を追求していく活動である.
経営層の「正しいことを実践すべきだ」との主張は度々,挫折を経験する.命令されただけでは,人々は動かないのである.人的側面を重視したプロセス改善の仕組みは,人々を改善活動に向かわせ,「プロセス改善の源は人間力にあった」との思いを深くさせる.