抄録
本論文においては,ホリスティック(包括的・統合的)アプローチでソフトウェア・プロセス改善を実践した際の「人間力」に照準を当て,会社生活におけるパーソナルな価値観の追求という観点から分析し考察する.組織的なプロセス改善活動は,どのようなモデルを導入しても,孤立した人間関係からはその効果を生まない.相手のことを考える「人間理解」と「自己認識」が組織に広がり個と個の人間関係が共鳴した時に,組織的なプロセス改善活動は効果を発揮し,組織およびパーソナルな価値を向上させる.人生の約半分を過ごす会社生活を「生きがい」のある価値あるものにするためにこそプロセス改善活動はあるのだとの論点を中心に論述する.