抄録
デザイン業務は製造業のバリューチェーンの上流に位置し、そのアウトプットは製品の価値に大きな影響を与える。
しかし、「デザインの良し悪しは定量化しにくい」「仕事の中身はケースバイケース」という、いわば「非定量的業
務」であることから、デザイン業務は組織的なプロセス改善の取り組み対象とされにくかった。しかし、そのよう
な業務にも何らかのプロセスがあり、BPR(Business Process Re-engineering. 業務プロセス改革)に取り組む可能
性が存在する筈である。筆者は、デザイン業務の改革を追求したプロジェクトに関与し、この可能性を実地に検証
する機会を得た。この事例を通じ、「非定量的業務」においても
① 「開始と終了(及び節目)のイベントが定まっている」「スケジュールに則って遂行される」のであれば、現に
行なわれている業務を棚卸しすることで「典型的なプロセス」の可視化と課題の抽出が可能
② 発生している課題が、既知の他業務領域で典型的に発生しがちなものと共通であれば、業務の内容自体は未知
でも既知の改善手法を適用して業務改革の方向性を見出すことが可能
ということが裏付けられた。