抄録
震源の相似則を表すモデルとして, オメガ・スクエア・モデルが良く知られているが, このモデルは振幅スペクトルに対して規定しているだけで, 位相に関する相似則がどのようなものであるかは, ほとんど研究されていないのが現状である. そこで, 本研究では, 位相スペクトルにおける震源の相似則を調べ, これのモデル化を試みる.解析方法として, 位相特性を表現するのに群遅延時間を用い, 大地震と小地震の関係を経験的グリーン関数重ね合わせ法であるIrikura (1986) によって評価する. 解析結果から, 震源時間関数の平均, 分散, ひずみ度および尖り度をパラメータとしてモデル化することができ, これらの値は震源のディレクティビティ効果によって大きく変化することがわかった.