抄録
阪神・淡路大震災以降, 様々な組織において防災マニュアルの改訂/更新が行われてきたが, 依然としてその多くは災害の事後対応を主目的としている. また「お上指導型/提供型」であるために, 責任の所在が不明確, 対象組織や地域の特性把握が不十分などの問題を有している. さらに「分厚い紙の印刷物」スタイルは, 検索性や更新性が悪いだけでなく, マニュアルの良し悪しの評価を難しくしている.本研究では, 既存マニュアルの分析/評価, 目的別/ユーザ別編集, 当事者によるマニュアル作成/更新機能を防災マニュアルに持たせることで, 利用者自身が抱える潜在的な問題点の洗い出し, 対処法の検討や評価等が行える環境整備ができる次世代型防災マニュアルを提案し, 東京大学生産技術研究所に適用した.