抄録
加速度記録から永久変位を求めるために、積分方法には長周期ノイズの除去と永久変位成分の保留が共に要求される。Iwan等 (1994) は、時間域を区間に分け、3次多項関数で各区間における積分速度のベースラインを仮定する方法を提案した。本研究ではIwan等の積分方法に基づいて、積分速度より加速度記録に対するベースラインの修正によって、積分変位を求める改良積分方法を提案した。また、永久変位の積分結果を大きく左右している時間域の区間分け方を物理的意味で定義し、微調整の手法を提案することによって、安定的な積分変位を得られた。また、1999年台湾地震の加速度記録を用いて、永久変位を求めた。その結果、GPS観測結果とよく調和することによって、本提案方法の有効性が検証された。