地震工学論文集
Online ISSN : 1884-846X
ISSN-L : 1880-4624
流れの遡上に伴う波高減衰に着目した波状性段波の実験的研究
中村 祐介安田 浩保清水 康行
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2007 年 29 巻 p. 890-894

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抄録
2003 年9 月に発生した十勝沖地震津波が複数の河川に浸入して遡上したことが観測されたことを契機に津波の河川遡上の危険性が強く認識されるようになった. この津波は波状段波を形成して河川を遡ったことが確認されている. これまでに波状段波に関する複数の研究が行われ, 段波波高が最大で2 倍程度にまで上昇することが示された. しかし, これらの研究のほとんどは水平床かつ静水中における波状段波に対するものでるため, こうした知見をすぐさまに河川を遡上する津波に対して適用することは難しい. そこで本研究では不等流場を遡る波状段波の伝播特性を捉えることを目的とした水理実験を行い, 段波波高の上昇及び減衰の過程を把握することを試みた. 実験の結果, 波状段波が不等流場を遡る際に最大で2.5 倍程度まで水位上昇すること, Froude数が0.35 以上となる区間では急激な波高減衰を生じることが確認された.
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© 社団法人 土木学会
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