2006 年 43 巻 p. 459-464
簡易漁具による採捕結果は, 一般に定量性に乏しく個体分布の把握には向かないと考えられている. 一方, 二次的自然を形成・維持してきた農村環境の劣化が叫ばれ, 現状把握が喫緊の課題となっている現在, 定量性を担保した詳細調査が広く各地で早急に実施されることを期待するのは非現実的である.
著者らは, 簡易漁具の活用可能性を追求することを目的とし, 千葉県大栄町下田川流域において簡易漁具によるタモロコの採捕および物理環境計測を実施した. 同流域では本種の生息場適性指数HSIが既知とされている. これは各月1回の2年間にわたる電気ショッカー調査から開発されたものである. 簡易漁具の結果を既知HSIと比較し, 簡易漁具の結果を順位化することにより, それらの間に相関関係を見出した.