2006 年 43 巻 p. 593-598
精密膜表面に粒子径約14μmの珪藻土によるプレコート層を形成し, ファウリング抑制効果を検討した. 対象水として0.4~0.8μmの懸濁粒子が主体である河川水と貯水池水を用い, 珪藻土をそのまま, あるいはポリ塩化アルミニウム (PAC) で被膜した後, プレコート剤 (ろ過助剤) として用いた. その結果, 珪藻土をそのまま用いたプレコートろ過ではファウリング抑制効果が得られなかったが, 珪藻土をPAC被膜することによって顕著なファウリング抑制効果を得ることができた. PAC被膜した珪藻土を用いたプレコートろ過におけるファウリング抑制は, 珪藻土表面がPACで被膜され, もともと負電荷を持つ珪藻土が正の表面電荷を持ったことによって負に荷電した水中の懸濁粒子を電気的に捕捉し, 膜表面への到達を抑制できたことによると推定された