環境工学研究論文集
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東京都区部の地下水窒素汚染の現状と汚染源の推定
黒田 啓介福士 哲雄滝沢 智愛知 正温林 武司徳永 朋祥
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2007 年 44 巻 p. 31-38

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抄録

地下水の窒素汚染は従来から日本の大都市部でも問題となっているが, 被圧地下水の水位上昇問題の出現や, 渇水時, 震災時の代替水源としての地下水の見直し等を受け, 今後は地下水の有効利用の可能性がますます高まっている。そこで東京都区部の地下水水質を調査した結果, 不圧地下水, 被圧地下水ともに窒素が10mg/Lを超える高濃度の地点が存在した。不圧地下水の窒素の形態は酸化還元状態に依存し, 都区部西側の台地では硝酸性窒素が, 都区部東側の低地ではアンモニア性窒素が卓越していた。土地利用と水収支から降水・水道漏水・施肥による窒素濃度を推定したところ, 全体のおよそ6割の地点で実測値が推定値を上回っており, 生活排水の漏れが寄与している可能性があった。

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