2007 年 44 巻 p. 321-329
本研究では、持続性の高いサニテーションシステムとして期待されるコンポスト型トイレにおいて、そのコンポスト試料中の医薬品をモニタリングするためにLC/MS/MSを用いた分析法の検討を行った。まずLC/MS/MSによる高感度同時測定法を構築した結果、15医薬品を試料濃度として0.013-1.1μg/kgレベルで安定して検出することが可能となった。また、コンポストからの抽出方法として振とう・超音波抽出-固相抽出法を考案し、標準添加法による添加回収試験を行った結果、10医薬品において回収率が76-115%となり、本分析法の有効性と実試料への適用が確認された。本分析法を用いてコンポスト試料の医薬品濃度を測定したところ数μg/kgレベルであり、ケトプロフェンが35μg/kgと最も高濃度で検出された。