環境工学研究論文集
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宮城県中南部のウルマーシマトビケラ地域集団の遺伝的多様性と分化
渡辺 幸三草野 光大村 達夫
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2007 年 44 巻 p. 83-92

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抄録

宮城県中南部6水系の58地点でウルマーシマトビケラ地域集団の遺伝構造をAFLPマーカーで調べた. 各地点の遺伝的多様性を平均ヘテロ接合度Heで評価し, その頻度分布に基づいて, 遺伝的多様性を5段階で相対評価するHeの基準を提案した (例, He<0.136: 非常に低い, 0.136<He<0.171: 低い). 地点間のθに基づいて遺伝系統樹を作成した結果, 調査エリアは3つの遺伝的グループ (A, B, C) に分かれた. このうち56地点を占めたグループAとBの分布域は, 標高270-350mを境に上流側 (A) と下流側 (B) に分かれた. この原因の一つとして, 年世代数の違い (A=1, B=2世代/年) に伴う両者の交配時期のずれが推測された. グループCは遺伝的に孤立した2地点で, 源流端に位置, 下流側が非生息地, 狭い川幅の3条件が共通して見られた.

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© 社団法人 土木学会
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