環境工学研究論文集
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生活用水需要予測のための需要構造調査とその要因分析
清水 聡行吉村 啓介山川 幹人山田 淳
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2008 年 45 巻 p. 571-578

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抄録
水道利用の大半を占める生活用水の長期的な水需要予測は, 今後の施設計画, 水道事業経営計画を策定する上で重要である.近年, 水需要が横ばいから減少に転じており, 世帯レベルや使用目的別に水需要の構造を捉え予測することが必須となってきている.しかし, トレンドに従ってきた我が国の需要予測手法では, 需要構造の詳細な調査や分析の例は非常に少ない.本稿は, 利用者の属性, 水使用量, 水利用機器, 水利用行動を世帯, 個人レベルで調査した結果 (1404世帯) を統計的に整理し, 需要構造の定量化をおこない, 予測に必要な要因の抽出を試みたものである.さらに, 使用目的別に量水器をとりつけ, 水使用量の変化を測定して, 詳細な構造把握を試みた (目的別に118~469日).その結果, 主要な使用目的である, キッチン, 風呂, 洗濯, トイレなどの水使用量, 水利用行動が明らかになるとともに, 水量や行動に影響を与える要因として, 世帯構成, 機器の普及, 生活行動, 節水意識などが統計的に得られた.これらの要因の今後の動向を予想することによって確度の高い需要予測が可能になることを示した.
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© 社団法人 土木学会
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