日本古生物学會報告・紀事 新編
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529. フズリナ超科の一属・Pseudofusulinella
小沢 智生
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1967 年 1967 巻 68 号 p. 149-173

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抄録

Pseudofusulinella属の多くの種が最近アメリカおよびカナダの西海岸, 北極海周辺地域, ウラル山地から報告されている。しかし本属の分類上の特性, 種または種群間の系統的関係およびそれらの地質学的価値はまだ十分吟味されていない。筆者は南部関東山地の下部ペルム系より本属に同定すべき新種を得たのを契機として, 本属の古生物学的検討を行った。従来Pseudofusulinella属とされた種には, 模式種P. occidentalisおよびP. utahensisで代表される二つの大きなグループがあり, それらは分類上区別されるべきであるという結論に達し, 後者に対し新亜属, Kanmeraiaを提唱した。Kanmeraiaに属するものとして関東山地産の一新種を記載しその個体発生について検討した。さらに既報告種を文献ならびに, 北米西海岸産の標本により検討し殼の特性から5種群に分け, 相互の系統進化および, それらの地理的分布, 移動について考察した。上部石炭-下部ペルム紀に於ける北部大平洋よりウラル地域にかけての, 生層序学, 対比, 生物地理区等の考察上, Pseudofusulinellaの重要性が高まった。

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