1969 年 1969 巻 76 号 p. 177-184_1
高知県土佐市浅井の四万十帯から新たに発見されたアンモナイトはDipoloceras (Diplasioceras)に属し, 既知種のどれとも区別できる特異性があるので, 新種として記載する。このアンモナイトはかつて報告された土佐市北山産のDipoloceras aff. fredericksburgenseとともに, 下部白亜系アルビアンの中部を示す。これに関連して, いわゆる葉山層と堂ガ奈路層との関係についての可能な一解釈を記す。またこの機会に四万十川層の堆積環境について, アンモナイトの見地からの見解を述べる。貴重な化石を発見し快く研究に提供された長谷川清治・塩見孝男の両氏に深く敬意を表する。