日本古生物学會報告・紀事 新編
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816. 本邦白亜系セノマニアン階産イノセラムス-I
松本 達郎野田 雅之
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1986 年 1986 巻 143 号 p. 409-421

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抄録

北海道と九州産のよく知られていなかった4種 : 本邦のセノマニアンからは, まだよく究明されていなかった種がかなりあるので, それらを逐次記載していく。この論文では次の4種を記載した。(1) Birostrina tamurai sp. nov.;以前にInoceramus concentricus costatus Nagao et Matsumotoと呼ばれていたものの一部で, B. concentrica群に属するが, 殻の後部に放射状の溝があり, 成長後期に肋が発達する。九州の御船層群下部層と北海道幾春別及び古丹別のセノマニアン中部産。(2) Inoceramus takahashii sp. nov. ; I. comancheanus群に属するが, 殻の輪郭が準長方形で, 膨らみが弱く, 亜肋も弱い。幾春別のセノマニアン下部産, (3) I. heinzi Sornay;マダガスカル原産のものに同定できる。天塩佐久のセノマニアン・チューロニアン境付近産。(4) Mytiloides mikasaensis sp. nov., M. submytiloides (Seitz) よりも殻頂角が大きく, 前縁が前方に凸の線を描く輪郭で, 規則正しい同心肋に加えて細かい同心条線が殻表面を覆うことで識別される。幾春別のセノマニアン上部のEuomphaloceras septemseriatum帯に産する。

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