抄録
標記は1963年以来10点に達し, その産出の報告もあり, 大部分いわき市石炭化石館に展示・保管されているが, 学名が未決定であった。保存状態に良否があるが, 相互に類似・共通点があり, 同一種とみなされる。観察事項を相補的に総括すると特性がわかる。中年までは螺環が狭長だが両側は緩い凸面で, 多数の長肋と挿入肋は外側で顕著な前方屈曲を示す。その他の形質も併せ, 北海道によく産するMesopuzosia yubarensis (Jimbo)の特性と合う。気房最終部と住房(約240°)から成る外の螺環は漸次丸みを帯び横断面は卵形, 多数の肋が弱化消失するかわりに鈍い放射状隆起が広い間隔で側面内半に生じ, 住房後半では太くなり緩い膨らみを呈する。殻口縁で直径が82cm余り, 時には120cmを起える。これと同様のものは北海道からも最近報告された。双葉のは生長過程の変化がよくわかる。上記種の二型のマクロコンク(M殻)と結論される。産地は図示の通り狭い地区内で, 層序的には双葉層群下部の足沢層中部に当たる泥質細粒砂岩~砂質泥岩の限られた部分(厚さ20m中の2層準)で, 伴う化石種はコニアシアン階中砂部を示す。M殻だけの限定産出の理由について論述した。