霊長類研究
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短報
Social Interactions Between Rhesus Macaques (Macaca mulatta) and Assamese Macaques (M. assamensis) in Nepal: Why Do Male Rhesus Macaques Follow Social Groups of Assamese Macaques?
Hideshi OGAWAPavan K. PAUDELSabina KOIRALASunil KHATIWADAMukesh K. CHALISE
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2019 年 35 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

ネパールのKathmandu近郊にあるShivapuri Nagarjun国立公園で,アカゲザル(Macaca mulatta)のオトナオスがアッサムモンキー(M. assamensis)の複雄複雌群について行き混群を形成した事例を,両種の群間交渉と共に報告する。なお同国立公園内にはヒョウ(Panthera pardus)が生息している。2014年7月から2015年4月(期間1)と2017年4月から2018年3月(期間2)に両種の観察を行った。両種はそれぞれ複雄複雌群を形成し,同国立公園内には,複数の野生群の他,軍隊の残飯に餌付けされたアカゲザルの群れ(RA群)とアッサムモンキーの群れ(AA群)がいた。期間1には両群が餌場に現れたが,両群の関係は敵対的だった。また,同国立公園に隣接するBalaju公園には観光客に餌付けされたアカゲザルの群れ(RB群)がおり,期間2に同国立公園と同公園でRB群とAA群が出会った際には激しい攻撃交渉が行われた。ところが期間2にはアカゲザルのオトナオス2頭がアッサムモンキーのAA群と共に餌場に現れ一緒に森に去って行った。さらに期間2には別のアカゲザルのオトナオス2頭がアッサムモンキーの野生群(AS群)について行くことも観察された。これらのオスは,アッサムモンキーのオスやメスと攻撃交渉を行うだけでなく,アッサムモンキーのオスと親和的交渉も行った。これらのオスはアッサムモンキーのメスに魅かれていたのかもしれないが,メスとの交尾は観察されなかった。一方アッサムモンキーの群れ外オスが観察されることはなく,アッサムモンキーがアカゲザルの群れについて行くことはなかった。複雄複雌群の中心オスになれないアカゲザルのオスは,小さなオスグループを形成したりソリタリーとして暮らすよりも,アッサムモンキーの群れと一緒にいることによって捕食される危険を減らしていたのかもしれない。

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© 2019 日本霊長類学会
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