厚板HT-80鋼のサブマージアーク溶接の研究(第1報)
溶接金属中の拡散性水素と各種われの関係について
1973 年 42 巻 4 号 p. 343-355
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1973 年 42 巻 4 号 p. 343-355
拡散性水素量の異なるフラックスを用いてHT-80鋼のサブマージアーク溶接における窓型拘束われ試験およびすみ肉拘束われ試験を行ないつぎのことを明らかにした.
(1)多層盛り突合せ溶接金属に認められる横われは,最終層下部からその直下の層の上部附近で発生し,水素の影響を著しくうける.
(2)すみ肉溶接における横われは,ビード縦方向の変形をフランジ材裏面のビード方向に取付けた防撓材で拘束した細長い試験板で再現でき,縦われは比較的小型の試験板でウェブ材のたおれこみを拘束すれば再現できることがわかった.
(3)すみ肉溶接金属に発生する横われには,ルート部から発生するものと溶接金属中で発生するものとがあり,いずれも水素の寄与が著しい.
(4)突合せ溶接金属とすみ肉溶接継手の溶接金属中で発生する横われは同種のもので,おもにオーステナイト粒界に沿って伝播する.
(5)すみ肉溶接金属に発生する縦われは水素によるルートわれであるが,拡散性水素量を少なぐするフラックスを用いる場合には,予熱や後熱によりあるいは溶接金属の強度を下げることにより防止することができる.
