抄録
通産省が1982年から11年間、約540億円の予算を投じて実施した第五世代コンピュータ(FGCS)プロジェクトは、当時盛んであった情報化社会論、技術の「ただ乗り、追随論」への批判と反省等を背景に、我が国発の新たなコンピュータ技術開発を目指した野心的なプロジェクトであった。本稿では、FGCSプロジェクトの残した実績等について、プロジェクト終了から15年以上が経過した現在の視点から捉えなおし、我が国における科学技術政策、イノベーション政策の立案、実施、評価の改善に資する課題の抽出と提言を行う。