抄録
本稿では、サービス関連のイノベーションの特徴と現状を分析した上で、サービスイノベーションを促進するための政策上の課題を検討する。まず、サービス(ハイ・コンタクトなサービスと、ネット上のサービスの両方)関連のイノベーションと知的財産の現状を考察する。その中で、現状のビジネス方法特許の問題も示す。そして、サービスは、物品と異なり特許で独占させるべきでないことを、革新的サービスの社会への普及速度の観点から分析する。また、ネットでのサービスでは、実際にサービスを提供している企業のみが恩恵を受けるような知的財産権の必要性を述べる。その上で、サービス分野のための新たな知的財産権として、独占はできないが先行者優位(営業的な効果)をもたらすような「自然法則の利用」の条件を緩めた知的財産権の必要性を示し、その具体的な要件を考察する。