甲殻類の研究
Online ISSN : 2433-0108
ISSN-L : 0287-3478
アカテガニの脱皮に及ぼす歩脚除去の影響
鈴木 幸子
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1980 年 10 巻 p. 61-68

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抄録
アカテガニの脱皮に及ぼす歩脚除去の影響を眼柄を切除した場合と熱処理の場合とで比較した。アカテガニを脱皮直後に2(1対),4(2対)あるいは6(3対)本の歩脚を除去すると次の脱皮は正常(歩脚を除去しない)個体よりも促進され,脱皮率も上昇する。この脱皮の促進は除去した歩脚数に比例する。一方眼柄を切除した場合には今まで十脚類で報告されたようにアカテガニでも脱皮を誘発し歩脚除去よりも著しい効果を示す。眼柄と歩脚を同時に除去すると次の脱皮は眼柄だけを切除した個体よりも遅延する。この脱皮の遅れる程度は除去歩脚数と比例関係にあった。FINGERMAN and FINGERMAN(1974)はUca pugilatorで,McCARTHY and SKINNER(1977a)はGecarcinus lateralisでそれぞれ無眼のカニから歩脚を除去すると脱皮は遅延することを認めているが,アカテガニによる結果とは多少相違している。
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© 1980 日本甲殻類学会
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