実験音声学・言語学研究
Online ISSN : 1883-6763
研究ノート
英語3方言の/l/の異音特徴
三浦 弘勝田 浩令
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2018 年 10 巻 p. 45-54

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抄録

ウェールズ方言とアイルランド方言の/l/はすべての音声環境で明るい(口蓋化した)Lとして調音され、スコットランド方言の/l/はすべての環境で暗い(軟口蓋化した)Lとして調音されると言われている。音響的には、明るいLでは暗いLに対して相対的に第1フォルマント(F1)の周波数が低くなり、第2フォルマント(F2)の周波数は高くなる。暗いLでは、F1とF2の周波数の傾向が逆になる。本研究は英語3方言の現地収録データから/l/のF1とF2を計測し比較を行った。F2には上記の主張と一致する音響的傾向が見られたが、F1には見られなかった。また、容認発音(RP)のように明るいLと暗いLが相補分布しないこれら3方言においても、頭子音の/l/は明るめに(F1が低く、F2が高い)、尾子音の/l/は暗めに調音されていることがわかった。

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