抄録
第1節に高周波を用いる電解整流の迅速な電極反応速度解析法としての有用性について論じる.第2節はこの方法における交直両電位電流成分の規定条件とその実際的意義を解説し,第3節にDelahay-千田理論による整流電圧測定値の一般的解析法,微分容量値が未知であるときの別法,整流電流測定法の基礎的概念について述べる.高周波パルス(50MC迄)による整流電圧測定法,voltage-stepを用いて整流電流を補償する方式の測定技術について第4,5節に述べ,第6節にはゼロ整流電流を与える周波数,濃度関係よりkinetic parametersを解析する簡便法の理論とその実験法について述べる。第7節には整流電流測定法に併用される還元体内部生成法(generation in situ)について述べる.第8節にはこのようにして評価せられたkinetic parametersの電気2重層構造にもとづく補正について述べる.すなわち拡散2重層における電位差Δψの見かけの加電圧および復極剤濃度分布に対するFrumkin補正,Δψ値評価に対するGouy-Chapnlan式とBrodowsky-Strehlowの修正式,更にLevicnh,松田-Delahayにより論ぜられているΔψによる復極剤の静電的吸引または反撥の効果である.第9節に高周波による電気2重層の分散効果や電極溶液界面における吸着現象の研究に有望な電気2重層そのものによる整流効果non-faradic rectificationの理論式と実験方法について概説する.
