Review of Polarography
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回転白金電極における硫酸ヒドラジンのポーラログラフ的挙動
永井 外代士松田 十四夫
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1969 年 16 巻 1-2 号 p. 16-29

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抄録
 ヒドラジンの電極酸化に関してのボルタンメトリー的研究は近年Meitesらの水銀滴下電極および回転白金電極におけるポーラログラフ的研究とBardの硫酸酸性溶液での静止白金電極におけるクロノポテンシオメトリー的研究との報告があるが,白金電極におけるヒドラジンの酸化波に関して,電極表面状態との関係について異なった結果がえられている. 即ちMeitesらは広いpH範囲にわたってヒドラジンの酸化波の立ち上り部分が白金酸化物のcathodic dissolution patternと同じ電位範囲に現われ,さらに電極表面の白金酸化物が"vital role"を果していると結論しているのに対して,Bardはヒドラジンの電極酸化は白金酸化物が還元される電位よりも負電位でおこり,白金酸化物が還元された後に生成する微粒白金のある電極表面が"active surface"として作用すると結論している. 本研究では白金電極を用いる場合,再現性のある結果をうるのに重要な電極表面状態と電極反応との関連性に注目し,ヒドラジンの酸化波について回転白金電極を用いて検討を行なった. その結果,ヒドラジンの酸化波は広いpH範囲にわたって白金酸化物のcathodic dissolution patternよりも負電位側に立ち上り部分を示し,また白金酸化物を還元した直後の電極で最も立ち上りのシヤープな酸化波がえられ,広いpH範囲にわたってBardの結果を支持している.さらにヒドラジンの電極反応に含まれる電子数,水酸イオンの数について考察し,濃度と拡散電流との比例性や温度係数などについて検討し,分析化学的に良好な結果がえられている.
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© 日本ポーラログラフ学会
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