抄録
P-フェナントロリンジメチオジド(la)およびその関連化合物であるかフェルナントロリンモノメジド(lla),5,6-ベンゾキノリンメチオジド(llla)および3,4-ベンゾキノリンメチオジド(lVa)を,それらの直流ポープログラム第1波相当の電位でもって電解し,還元生成物をポープログラフィー,サイクリックボルタンメトリー,紫外可視吸収スペクトルおよび核磁気共鳴吸収スペクトルによって検討した.その結果laの1電子相当の還元体のみがラジカルとして安定であった.それは荷電分子間の静電的(カチオン)反発のためであって,ラジカルは酸化剤に対しては反応性に富んでいる.このカチオンラジカルはまた亜ニチオン酸ナトリウムによる還元によっても得られる.一方同じ1電子還元体でもlla, llla,lVaの場合には直ちに2量化してしまう.laの2電子相当の還元体は,1電子相当の還元体程酸化剤に対して反応性に富んでいない.