抄録
昨年度に引き続き、今年度もコロナ禍の一年となりました。
しかし、そのような中でも、理科部の皆さんと知恵を出し合い、様々な企画を実現できました。夏の全国教員夏季研修では、東京地区が担当となり、初めて完全オンラインで実施しました。理科部は、毎年伝統的に行っている、全国の先生方による実践報告を中心にプログラムを構成しました。当日は、Zoomのブレイクアウトルームを活用して、分科会形式で計19の提案発表を実施しました。オンラインでも、全国の先生方と議論し、学び合えるということが改めて実感されたように思います。
同時に、リアルで行う価値が問われました。年に一度の全国研、オンラインでもできる一方通行の講演や実践報告に閉じて良いのでしょうか。これまでの研修の在り方を見直し、参加された方の価値観に触れ、高め合えるような場をつくっていく必要性を強く感じました。
7月と2月に行われた一斉研修では、「探究」をテーマに研修を企画しました。理科部の研究テーマである「おもしろい理科の授業をつくる」に迫るためには、「探究」は外せないキーワードの1つです。探究についての講演や提案発表をもとに、参加者と議論し、情報交換できたことは、大きな学びにつながりました。
2月の一斉研修では、文科省の教科調査官である鳴川哲也氏を講師に迎えました。先輩方に聞けば、教科調査官を講師に迎えるのは、十年以上振りだそうです。我々が目指す教育のベースとなる部分を、具体例をあげてお話くださり、大変勉強になりました。
その研修会の中で、鳴川氏が「理科の授業で大切なこと-Science Fragrancerからの贈りもの-」という書籍を出版されるという話が出ました。
聞けば、Science Fragrancerというのは、「理科大好き」という香りを醸し出す先生方のことだそうです。そんな話の後、運営委員の先生方と次のような冗談話をしたことが忘れられません。
「この書籍の執筆者に私学の人がいないのは、少し悔しいです。」
「私学の理科の先生は、匂いが強烈すぎるのかもね、ははは。」
この話を聞いて、妙に納得してしまいました。そして、いろいろな香りを出す方と、こうして共に研究できる環境をもっと活かさなくてはという思いを強くしました。
多様性こそが私学の強みであり、多様性を交差させることで、我々の研究を最大化できるのだと考えています。研究団体としての価値を高め、ここにしかいない魅力を発信してくこと、それが我々運営委員の役割です。