日本臨床外科医会雑誌
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5 腹壁「デスモイド」 (肉腫) の 1 例
氏家 哲郎青木 忠夫
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1942 年 6 巻 1 号 p. 38-42

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抄録

腹壁に發生せる腫瘍は臍を除きては比較的稀なり.特に興味あるは Sänger 氏の命名せる腹壁「デスモイド」なり.本腫瘍は腹筋の筋膜, 腱膜, 腱畫等の腱様組織より發生せる結締織性腫瘍, 即ち繊維腫, 粘液繊維腫, 繊維脂肪腫, 繊維肉腫, 嚢腫性或は粘液腫性肉腫, 或は各種の混合型等なり.
腹壁「デスモイド」は欧米に於ては比較的多くの報告例あれど, 本邦に於ける報告は僅かに10數例にして, 特に肉腫は数例を數ふるのみなり.
吾々は斯る稀有なる男子の腹壁肉腫の1例に遭遇し, 別出手術を施行せるも, 不幸にして再發を來し, 死の轉歸をとるに至る経過を觀察し, 更に之を剖見し得たり.茲に一症例を追加報告し, 併せて國内文獻に就き2, 3の考察を加へんとするものなり.

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