日本臨床外科医学会雑誌
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石灰化胆のう(Calcified Gallbladder)
5例の臨床病理学的検討
武藤 良弘内村 正幸脇 慎治鮫島 恭彦林 輝義松元 定次門野 寛
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1978 年 39 巻 4 号 p. 528-533

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抄録

過去5年間に経験した石灰化胆のう5例を検討した.年齢は50歳~73歳に分布し,平均年齢61歳で,男性2例,女性3例であった.全例腹痛を主症状とし,腹部単純X線検査で胆のうの位置に一致して石灰化像を認めた.胆のう造影では全例胆のうは造影されなかった.全例結石を有し,頸部に結石嵌頓を認め, 3例では胆のう内に結石を充満していた.結石は全例コレステリン系結石であったが,胆のうの肉眼像は各々異なり,症例1は多房性で,症例3は卵殻様,症例4は貝殻様であり,残りの2例は慢性胆のう炎像であった.
組織学的に胆のう粘膜は剥離消失していて壁は硝子化していた.石灰化は粘膜固有層や筋層に相当する部位に存在し,その形態は顆粒状と板状に大別出来た. 5例中3例は胆のう全体にび慢性に石灰化がみられ,残りの2例では結石嵌頓部に一致する壁に石灰化を認めた.さらにこの2例では筋層内に腺管様上皮が散見された. 5例共癌は併存していなかった.

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