1979 年 40 巻 6 号 p. 1169-1172
上部消化管急性大出血の患者21例に対してアルギン酸ナトリウムを経口投与してその止血効果を観察した結果,著効10例,有効7例,無効4例で有効率81%であった.著効例は胃炎や胃潰瘍からの出血に多く,頻回の吐血・下血や鼻管からの新鮮血の流出が薬剤投与後1~2日で完全に止血出来,無効例は胃癌出血に多かった.頻回の薬剤投与に拘らず副作用は殆んどないか軽微で, 1例に下痢1例に胸やけを訴えたのみであった.本剤は有効率が高く,しかも副作用がない点より消化管出血の保存的療法として試みるべき治療法である.