日本臨床外科医学会雑誌
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右腋窩に発生した脂腺癌の1例
内藤 宗紀田中 忠良宮原 義門森重 一郎中村 英典
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1981 年 42 巻 1 号 p. 42-45

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抄録

脂腺癌のほとんどのものは,マイボーム腺由来であり,眼瞼以外の本邦報告例はわずか25例で,ほとんどが顔面および頭部である.最近われわれは,右腋窩に発生した脂腺癌のきわめて稀な症例を経験したので報告する.
症例は, 58歳,女性で昭和53年1月頃,右腋窩の腫瘤に気づき, 3カ月後に外来受診,生検の後,手術が施行された.
腫瘍は直径5cmの半球状,弾性硬,境界鮮明,表面凹凸不整,易出血性,中心部に3cmの潰瘍形成を認め,辺縁隆起,腫瘍底に黄白色・褐色の膿苔が付着し,腫瘍全体に黒褐色の色素沈着を認めた.
病理組織学的には,真皮上層から皮下組織にかけて大小の胞巣を形成して浸潤性に増生する腫瘍組織がみられ,ほとんどが大型の泡沫状あるいは空胞状の胞体をもっていたが,基底細胞様の腫瘍細胞はみられなかった.腫瘍細胞の胞体内には, Sudan III染色で陽性の脂肪滴がみられた.

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