日本臨床外科医学会雑誌
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家族性大腸ポリポーシスの2例
日馬 幹弘上甲 宏小木曽 実平良 朝秀舟山 仁行佐藤 茂範田渕 崇文徳毛 公人西田 清一井上 仁湯本 克彦金沢 築小沢 靖相馬 哲夫
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1981 年 42 巻 4 号 p. 454-458

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抄録

姉弟に発生した家族性大腸ポリポーシスの2例を経験した.
症例1(発端者)29歳,男,農業.
食欲不振及び下痢を主訴として来院.理学的検査,血液学的検査は異常を認めず.肛門鏡検査にて5cm, 3hrに山田IV型ポリープを認め生検にて頭部より高分化型腺癌を認めた.注腸造影にて大腸全域に無数のポリープを認めた.大腸全摘,回腸瘻造設した.摘出標本によるとポリープは全大腸に散在し総数約1,500個,脾曲を境界として口側に山田I, II型,肛門例にIII型を主として認めた. IV型ポリープは下行結腸から直腸にかけ5個認めた.癌化は横行結腸中部に6カ所,下行結腸に1カ所,直腸に2カ所認めたが全ていわゆるcarcinoma in situであった.
術前の検査にてCEA(サンドイッチ法)は0.5ng/ml,上部消化管にポリープを認めず,頭蓋骨,下顎骨にX-線的に異常所見を認めなかった.
家族歴によると父親が直腸癌で死亡しており本症が疑われた為に血縁者に検索を申し出たが姉のみこれに応じた.
症例2. 30歳,女,家婦(姉)
注腸造影にて全大腸に無数のポリープを認めた. IV型ポリープは横行結腸中部に2個,下行結腸に5個, S状結腸に2個の合計9個,下行結腸のIV型をポリペクトミー,他に10カ所生検したが全てgroup II~IIIであった.
症例2は諸種の事情により他院において,大腸全摘,回腸瘻造設を施行した.

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