日本臨床外科医学会雑誌
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肝海綿状血管腫の1治験例
菅野 干治岡田 恒良平田 善久吉田 博斉藤 和好森 昌造
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1983 年 44 巻 5 号 p. 577-581

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抄録

肝海綿状血管腫は比較的稀な疾患とされている.最近,われわれは肝海綿状血管腫の1治験例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は58歳の主婦で昭和57年1月頃より心窩部痛,悪心,食思不振がみられるようになり,当科入院時までに10kgの体重減少がみられた.精査の結果,肝右葉後区域と肝左葉外側区域の海綿状血管腫と診断した.肝左葉外側区域の血管腫は6.0×5.5cmと大きく, Adamら1)の巨大血管腫に相当し,かつ疼痛,発熱を繰り返し,食思不振から体重減少も著明であったので手術適応と考え,肝左葉外側区域切除術を施行した.右葉後区域の血管腫は3.0×3.0cmと小さく,血流遮断と縫縮術を行った.術後には上記症状は消失し,元気に退院した.本症の診断には腹腔動脈造影とCTが有用であった.

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