日本臨床外科医学会雑誌
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胆石症に対する術前PTCの意義
奈良井 省吾大塚 為和今泉 信作栗林 和敏佐藤 利佐藤 康行
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1984 年 45 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

遺残結石防止と結石の胆嚢から総胆管への落下や総胆管から十二指腸への排出の頻度を知る目的で, US, DIC,それにERCで胆石症と診断された45症例に対して開腹する2~3時間前にPTCを行なった.その結果, 6症例(13.3%)はPTC後術前診断を訂正した.すなわち,総胆管内結石の消失していた症例が2例,胆嚢と総胆管内結石の消失症例が1例,総胆管内結石の発見された症例が3例であった.これら6症例中4例はERCからPTCまでの間に腹痛が出現していた.
以上の結果より,胆石症と診断されてから手術までの期間が長い時や,腹痛が出現した場合には結石の落下や自然排出があり得るので,手術前に胆道を直接造影法で再精査することが望ましいと思われた.そのためPTCは有用である.正確な術前診断は遺残結石防止と不必要な総胆管切開術を避けうることにつながるものと考えている.

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