日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
虫垂粘液嚢腫の2例
松井 則親田中 忠良森重 一郎味生 俊大西 博三
著者情報
キーワード: 虫垂粘液嚢腫, 注腸造影
ジャーナル フリー

1984 年 45 巻 1 号 p. 83-87

詳細
抄録

虫垂粘液嚢腫は,比較的稀な疾患である.虫垂炎様の症状を呈することが多いため,術前診断は困難である.最近,我々は注腸透視, CTで術前に虫垂粘液嚢腫と診断し得た症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
症例1は76歳の男性で,右下腹部痛を主訴として来院した.腹部所見より急性虫垂炎と診断し開腹したところ,虫垂粘液嚢腫であり,組織学的にはsimple mucoceleであった.
症例2は68歳の男性で,右下腹部腫瘤を主訴として来院した.術前,注腸透視で虫垂が造影されず,軟部組織塊による盲腸圧排像を認め, CTでは盲腸に接してcystic massを認め,虫垂粘液嚢腫と診断し得た.組織学的にはmucinous cystadenomaであった.
虫垂粘液嚢腫は,症例1のように虫垂炎の診断で開腹され発見されることが多いが,症例2のように,注腸透視やCTにより術前に診断することも可能である.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top