日本臨床外科医学会雑誌
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門脈大循環短絡による肝性脳症の1例
バルーンカテーテルを用いた短絡路閉鎖による門脈循環動態の変動(猪瀬型肝性脳症に対する短絡路閉鎖試験)
瀬尾 伸夫石山 秀一片桐 茂飯沢 肇布施 明吉村 信幸川村 博司安達 和仁亀山 仁一塚本 長
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1986 年 47 巻 10 号 p. 1329-1333

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抄録

巨大な左胃静脈-左腎静脈短絡による肝性脳症の1例を報告した.上腸間膜動脈性門脈造影では,上腸間膜静脈血の大部分は左胃静脈-左腎静脈短絡路を介して下大静脈に流入し,また,短絡路/門脈直径比は2.3であった.本症例に対しバルーンカテーテルによる短絡路閉鎖試験を行い,閉鎖前後の門脈循環動態の変動について検討した.短絡路閉鎖により,門脈圧は11.0cm水柱から24.5cm水柱に上昇し,また,有効肝血流量は342ml/min/m2から923ml/min/m2に増加した.
近年,門脈-大循環短絡による肝性脳症に対して積極的に手術が行われるようになってきたが,バルーンカテーテルを用いた短絡路閉鎖試験は,このような症例の手術適応の決定に有用であると考えられた.

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