日本臨床外科医学会雑誌
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Eaton-Lambert症候群を合併した肺癌の1例と本邦報告52例の検討
井上 文之田中 紀章岡信 孝治山本 浩史柏谷 昌昭三村 久折田 薫三佐藤 泰正小林 征二田口 孝爾林 一彦
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1986 年 47 巻 11 号 p. 1433-1439

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抄録

46歳男性で,咳漱と手指・下肢の脱力感を訴え, HCGのみ高値を示したEaton-Lambert症候群を合併した肺小細胞癌燕麦細胞型の患者が左肺全摘術とリンパ郭清術施行後,筋無力症状とHCGの低下をみた1例を報告し,合せて本邦におけるEaton-Lambert症候群を集計した. 1984年まで医学中央雑誌にて集計し得た限りでは自験例を含めて52例を数えた.性別では男76.5%,女23.5%と男に多く,発症年齢では50歳台が40.4%と最も多く,平均年齢は55.4歳であった.合併疾患は肺癌が75.0%と最も多い,そのうち82.1%は未分化癌であった.また,近年肺癌とEaton-Lambert症候群及び亜急性小脳変性症の合併例の報告が増加しており,最近の報告をみると決して稀ではなくなってきているように思われ,我々も小脳変性と神経筋接合部病変とは同一機序で起ったのではないかと考えている.

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