日本臨床外科医学会雑誌
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胃十二指腸穿孔の検討
消化性潰瘍穿孔例における手術適応について
竹末 芳生横山 隆児玉 節中井 隼雄三好 信和増田 哲彦
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1986 年 47 巻 12 号 p. 1557-1562

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抄録

H2-受容体拮抗剤の出現による消化性潰瘍の手術数の減少と共に,手術適応の考え方も変える余地があるのではないかと考え,最近5年間の当科並びに関連施設で経験した消化性潰瘍87例を中心に計104例の胃十二指腸穿孔を対象とし以下の検討を行った. (1)潰瘍において,穿孔から手術迄の時間をみると,腹水中に細菌(+)の症例では平均26.1時間,細菌(-)では9.0時間であり,また術後の感染制御不良例は穿孔後24時間以上で53.3%, 24時間未満では1.5%と24時間が境界線と考えられた. (2)腹部単純写真で遊離ガス像(+)でも全身状態が良好であり,腹部症状が限局性で穿孔部被覆が予想される5例に対し保存的治療を行い, 4例は24時間以内に症状の軽減をみ, 1例は改善がみられず24時間後手術施行,経過良好であった.以上より,上記の如き症例,特に若年者の急性潰瘍穿孔例では,保存的に治癒可能な症例もあり,穿孔後24時間は経過観察し,その後手術適応を決めてよいと考える.

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