日本臨床外科医学会雑誌
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肝adenomatous hyperplasiaの2例
水谷 純一渡辺 栄二平岡 武久金光 敬一郎本郷 弘昭田代 征記宮内 好正荒川 正博
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1986 年 47 巻 7 号 p. 927-931

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抄録

肝adenomatous hyperplasiaの各種画像診断上の特徴的所見についてはまだ明らかにされていない.肝細胞癌の鑑別診断に関して,今回,組織学的に確診の得られた肝adenomatous hyperplasiaの2例を経験したので報告した.腹部エコーは,症例1ではhypoechoic massを示し,症例2では境界明瞭なhyperechoic massを示した. CTは,症例1ではisodensity massを示し,症例2では中心部がisodensity, 辺縁部がlow densityなmassを示した.血管造影では2例とも,肝硬変による所見以外には異常を認めなかった.症例2では,症例1と比較して組織学的に著明な脂肪浸潤がみられたことから,症例1でみられた各種画像診断上の所見,すなわち,エコーでhypoechoic mass, CTでisodensity mass,血管造影でhypovascularityを呈する所見がadenomatous hyperplasiaの典型的所見をより反映しているのではないかと考えられる.しかし,今後さらに症例を重ねて検討していく必要があろう.

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