日本臨床外科医学会雑誌
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腫瘤の大きさ2cm以下の乳癌の診断
篠崎 登内田 賢蛯名 大介細谷 哲男武山 浩南雲 吉則桜井 健司
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キーワード: 小さな乳癌, 診断法, 診断率
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1988 年 49 巻 3 号 p. 422-425

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抄録

早期乳癌を腫瘤の大きさ2cm以下と設定し, 2cm以下の乳癌に有効な診断方法を検討した.
1983年1月から1986年9月までに当科で診断および手術した2cm以下の初治療乳癌55例を対象とした.乳癌診断法は,触診,乳房X線と乳腺超音波検査の画像診断,穿刺吸引細胞診の4法で,各診断法を正診率〔TP/Total: True Positive〕と感受性〔TP/(TP+FN): False Negative〕で比較検討した.
これら4診断法の中で穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration biopsy cytology: ABC)が,早期乳癌の診断法として最も優れていた. ABCは,腫瘍の大きさにはほとんど関係なく安定した診断率を示していた.組織学的にみると, ABCでは細胞採取不良が硬癌に多く,診断不能が乳頭腺管癌に多くみられた.外科生検率は, ABCが診断法に加えてから,年々減少傾向を示しているが,乳頭腺管癌の外科生検率が最も高率であった.

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